配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2003年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2002年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2001年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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研究概要 |
本研究課題の目的は,物理学で用いられている折れ線を用いて定められる経路積分に数学的定義を与えることであり,具体的には主に以下の研究を行うことであった。(1)汎関数の位相空間経路積分の収束及びその作用素による表示を与える。(2)量子力学及び自由場について,source Jを持つ母関数Z(J)の存在を示し,そのJについての汎関数微分の存在とそれが相関関数を与えることを示す。(3)経路積分を用いた摂動理論に数学的証明を与える。 研究成果としては,(2)の自由場の研究と(3)を除いて概ね研究課題を達成することができた。まず,物理学で通常用いられている位相空間経路積分の収束の研究を行い,その経路積分がL^2空間で収束し,それが対応するSchrodinger方程式の解を与えることを示した。次に,位相空間経路積分がL^2空間だけでなくより一般化されたSobolev空間B^aで収束することを示した。これを用いて,位相経路空間上の汎関数Π^N_<j=1>q(t_j)p(t_j)に対する位相空間経路積分の収束の研究を行い,それらの作用素による表示を与えることで,それらが相関関数を与えたり又正準交換関係を与えることを示した。次にこの結果を一般化し,位相経路空間上の汎関数Π^N_<j=1>z_j(q(t_j),p(t_j)に対する位相空間経路積分の収束の研究を行い,この経路積分が収束するためのz_j(x,p)(j=1,2,【triple bond】,N)についての必要十分条件を与えた。又,収束する場合には経路積分の作用素による表示を与え,これによりFeynmanの論文(1948)で発見的に与えられた多くの公式に数学的証明を与えた。次に,量子力学についての母関数Z(J)f(f∈jB^a)が,R^n値連続関数全体からなる空間Xの点Jに対して存在することを示した。更にZ(J)f:X→B^aがJについてFrechet微分可能であり,Frechet微分が相関関数を与えることも示した。この結果は現在投稿準備中である。又各研究分担者は本研究課題に関連して,Wick calculasによる振動型積分作用素の研究,Bose場の量子論の基底状態の遷移の研究,BMO空間とBesov空間についての研究とそれの方程式への応用の研究を行った。
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