研究概要 |
この研究により得られた結果は以下の通り。 1.Grassmann多様体に付随した超幾何系E_kはGKZ-超幾何系(A-超幾何系)の中で特に良い性質をもつクラスである.この方程式系をみたす超幾何関数について,Kummer型の恒等式を導出するためのシステマティクな方法を与えた.この方法を用いてβ_<2,5>を満たす超幾何関数のKummer型公式を具体的に求めた. 2.多変数超幾何関数の数値を求める問題はあまり研究されていない.微分作用素環のグレブナ基底を用いて多変数超幾何関数の満たす微分方程式を数値計算しやすいように加工し,多変数超幾何関数の数値を効率的に計算する方法を提案した.この方法を用いて,GKZ-超幾何系の中で興味ぶかい2変数ベッセル関数の数値計算を具体的に実行した. 3.Slopeは不確定特異点をもつ方程式の基本的な不変量である.モノミアルカーブに付随するGKZ-超幾何系に関してSlopeを決定した. 1の結果は確定特異点を持つ場合の研究であるが,不確定特異点をもつGKZ方程式系にも一般化を試みることが可能であろう.2および3の結果は不確定特異点をもつGKZ方程式系の解の解析的性質をしらべるための基本的結果である. 以上の結果は学術論文に発表されたことを付記しておく。
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