研究概要 |
研究課題のうち、場の理論の幾何学については、4次元Wess-Zumino-Wittenモデルの構成を行った。Wess-Zumino-Witten作用の定義を、境界を持つ4次元共形平坦多様体のカテゴリーから直線束のカテゴリーへの函手として定式化し、その構成を行った。その結果、これまで4次元球面に対して論じられていた諸結果を一般化した。とくに、ポリャコフ・ヴィグナーの公式を4次元共形平坦多様体において得ることに成功した。また、この課程で、3次元多様体からリー群への写像のなす群の互いに双対な2つの可換拡大を構成した。この結果は論文として、Journal of Geometry and Physics,47(2003),pp.235-258,に発表された。 研究課題のうち、スピノール解析については、4次元共形平坦多様体上のディラック作用素の調和スピノール解の、(1)積分表現、(2)局所解の存在、(3)ルンゲの近似定理、ミターク・レフラーの定理を証明し、(4)複素平面上の領域および4次元球面において大域解が存在することを示した。続いて、特異点を持つ調和スピノールについて、(5)ローラン展開式、有理型スピノールの導入、さらに(6)有理型スピノールのDivisorを定義し(7)そのコホモロジー群についてリーマン・ロッホ型の定理を証明した。以上のうち、(1)〜(5)の結果は、Japanese Journal of Mathematics, vol.28,No1(2002),pp.1-30,に発表し、(6)(7)の結果は2002年、澳門大学でのClifford解析国際会議で発表し、またBirkhauser Verlagより出るTrends in Mathematics, Advances in Analysis and Geometryに論文として出版される予定である。
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