研究課題
基盤研究(C)
非線形双曲型偏微分方程式に対する初期値問題について研究した。我々の関心は大域理論にある。この課題がまだ解決されていない理由の一つは『古典解が大域的に存在しない』、即ち『解に特異点が現れる』為である。我々の問題は『特異点を越えて解を延長すること』である。我々の方法を解説する。偏微分方程式を高次元空間に持ち上げ、Pfaff問題として定式化する。それがなめらかな大域的解をもつ場合がある。それを"幾何学的解"と定義する。それを基空間に射影することによりreasonableな"弱解"を構成する。これが我々のプログラムである。従って我々の手法は方程式を本質的には変えていない。これまでに確立された数学的理論はこの視点から統一的に捉えられると予測していた。単独1階偏微分方程式に対して我々のプログラムは概ね成功した。しかし高階偏微分方程式、及び系に対して我々の予想は一般的には正しくないことが判った。しかし我々の方法は大変自然である。従ってこの視点から更に推論を推し進めた。その過程において、いろいろな具体例をexplicitに解き、これまでに得られた結果と比較した。それにより現在までに定着した「流体力学に対する数学的定式化」に疑問をもつ様になった。詳細は辻の「研究成果報告書」を参照して下さい。一方単独1階偏微分方程式についても未解決問題について上記の手法により研究した。そしてこの問題に対しては我々のプログラムは正しいことを再確認した。例えば一般的には解が存在する領域は特性曲線族により覆われる。我々が構成した例においてはその領域の境界は特性曲線族の包絡線となり、その境界を越えて解を延長することが出来ない。また方程式がp=(∂u/∂x_1,∂u/∂x_n)に関して凸でないとき、或る例において我々のプログラムは正しいことを証明した。しかもその際面白い現象が現れた。現在、論文を作成中である。
すべて 2004 2003 2002 2001 その他
すべて 雑誌論文 (12件) 図書 (2件) 文献書誌 (8件)
Abstract and applied analysis(World Scientific)
ページ: 355-364
Abstract and Applied Analysis (edited by N. M. Chuong, L. Nirenberg, and W. Tutschke) (World Scientific)
Toward the desirable state of mathematical analysis (edited by T. Miyakawa et al.) (Kyushu University)
ページ: 1-10
Abstract and applied analysis (World Scientific)
Hyperbolic differential operators and related problems(Marcel Dekker)
ページ: 109-127
Hyperbolic Differential operators and related problems (edited by V. Ancona and J. Vaillant) (Marcel Dekker)
Acta Mathematica Vietnamica 27
ページ: 97-117
京都大学数理解析研究所講究録 1260
ページ: 24-32
Acta Mathematica Vietnamica vol.27
RIMS Kyoto Univ., Koukyu-Roku vol.1260
Functional-Analytic, and Complex Methods, their Interactions, and Applications to PDES(World Scientific)
ページ: 3-22
Functional-Analytic and Complex Methods, their Interactions, and Applications to PDEs (edited by W. Tutschke et al.) (World Scientific)