研究概要 |
13年度に引き続き、東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンターのK=110MeVのサイクロトロンが順調に稼動し、本報告書に係る平成13年度計画の研究は所期の目的を大略達成することができた。 1.陽子エネルギーE_p=50,69,70,80,90MeVにおいて、^6Li(p,n)^6Be反応の実験並びに解析を行い、アルファ核に2個の核子がついた質量数6の原子核に於ける粒子-空孔状態へのアイソスピン遷移の全貌を明らかにすることが出来た。特に励起エネルギー〜3MeVに新しい状態を発見しスピン・アイソスピン励起による2+状態と同定した。更に、〜15MeVにアイソスピン励起の双極子振動状態、また〜25MeVにスピン・アイソスピン励起の双極子振動状態を発見した。 2.^<42>Ca(p,n)^<42>Sc反応の研究に関し、陽子エネルギーE_p=60MeVにおけるGT-遷移と、Fermi-型の1^+→0^+遷移を分離観測することに成功し、E_p=50〜90MeV領域のV_τ/V_<στ>比を明らかにすることが出来た。 3.東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンターでは、陽子エネルギ-35MeVにおける(p,n)反応によって多くの業績をあげてきたが、E_p=50〜90MeV領域において、更に原子核のスピン・アイソスピン励起の研究を発展させるため、^<12>C(p,n)^<12>N反応の研究をE_p=70MeVにおいて行い、完壁に実験データを再現する解析手法など方法論を確立した。 4.本研究課題の一つの柱である移行スピン・パリティーゼロマイナス遷移については、^<16>O(p,n)^<16>F並びに^<40>Ca(p,n)^<40>Sc反応の研究をE_p=50MeVにおいて行い、ゼロマイナス状態の同定が出来た。今後サイクロトロンの加速ビームの増強を待って、角度分布の測定を行う。
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