研究概要 |
本研究課題は、余剰次元模型を主として超対称理論の観点から取り上げ、壁、渦糸、磁気単極子、インスタントンなどさまざまなソリトンを研究し、それらのソリトンを用いて超対称な余剰次元模型を研究することを目的として遂行された。本計画では大きく分けて、I)超対称理論におけるソリトンの研究、II)超対称理論でのソリトンをブレーンワールドに応用するための研究、の二つの方向の研究を目標としたが、それぞれについて成果をあげることができた。特に中心的な研究課題となったのは,場の理論の非線形微分方程式の解としてのソリトンである.場の理論の非摂動的な取扱いへの発展をひとつの狙いとして,ソリトンのダイナミックスについても考察した.まず,超対称性が8個ある非線形シグマ模型でドメーンウォール解を構成し,解が保存する超対称性を保つ方法を検討した.さらに,超対称な非アーベルゲージ理論で,ファイエ・イリオプロス項とハイパー多重項の質量項とがあるときに,真空を求めた.これによって,この理論にドメーンウォールが存在できることがわかった.この事実に基づき、超対称性非アーベルゲージ理論でのドメーンウォール解を完全に構成することに成功し、解のパラメターであるモデュライの空間が全体として複素グラスマン多様体となることを示した.6次元時空での超対称な非アーベルゲージ理論を用いて,渦糸状のソリトンを構成し、渦糸上の有効理論を考察した。超対称性非アーベルゲージ理論で,1/4の超対称性を保存する複合ソリトンとして,ドメーンウォールと渦糸と磁気単極子とが共存する場合の解を構成する一般的方法を与えた.5次元超対称アーベルゲージ理論で,ハイパー多重項の質量が複素数である場合に,ジャンクションの厳密解を具体的に構成できることを示した.これは超対称性が8個ある理論でドメーンウォール・ジャンクションを構成した世界最初の例である.超対称性が8個ある非線形シグマ模型で,超対称性を半分保存するランプ解が互いに任意の角度をなす場合にも,部分的に超対称性を保存する解があることを示した.
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