配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2003年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2001年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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研究概要 |
標準模型の検証ならびにそれを越える模型の手がかりを得るという観点から,QCDの理論的予言精度の向上は現在最重要課題の一つとなっている。本研究では重いクォークならびに"重い状態"を含む現象に対し,摂動論的扱いの適用範囲をQCDの因子化定理に従って厳密に検討するとともに,QCDの予言精度の向上を目指した。 1.B中間子の崩壊過程に現れる光円錐波動関数,形状関数について詳細に調べ,これらの非摂動的部分に対し理論的に強い制限が課せられることを明らかにした。また,高次フォック状態を無視する近似で,解析的な解が得られることも示した。2.J/ψ粒子生成過程は,非相対論的近似を用いて考察できることが知られている。偏極陽子・陽子散乱におけるDouble(二個の)J/ψ粒子生成から偏極グルオン分布を測定できることを指摘した。RHICでの精度の高い偏極実験でこの成果が役立つことが期待される。3.重粒子生成・崩壊に対するQCDならびに電弱補正に関し,トンプクォーク生成過程を詳細に検討した。崩壊粒子の角分布の計算、高エネルギーでは電弱補正が無視できないこと等,極めて重要な結果を得ることができた。4.QCDの理論的予言精度の向上という観点からDrell-Yan過程に対するQCD補正を系統的に考察し,新たな観測量の提言を行った。5.重いクォークに対する非相対論的有効理論は,数値的アプローチでも非常に重要である。その有効理論を格子ゲージ理論で扱う上での理論的問題を明らかにするとともに,重いクォークを含むカレントの格子摂動計算等の考察を行った。B中間子の崩壊等を議論する上で理論的予言の精度を上げた点重要な成果である。
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