研究概要 |
ダブルラムダハイパー核の中間子的及び非中間子的弱崩壊について崩壊機構と崩壊幅及び崩壊励起スペクトラムに関する研究を行った。 1.ダブルラムダハイパー核の非中間子的崩壊には核子関与の弱崩壊過程とハイペロン関与の弱崩壊過程の2つがある。前者はシングルラムダハイパー核にも共通に見られる。我々は核子関与のΛN→NN弱崩壊相互作用として主要項と考えられているΛN間に1πが交換してNNとなる過程の他に、2πが相関してσ(2π/σ)或いはρ(2π/ρ)となって交換される過程が重要であることを示した。更にΓ_n/Γ_p比を理解する上でKメソン交換による相互作用を導入した。1π,2π/ρ,2π/σ,1ω及び1K交換によるメソン交換相互作用はシングルラムダハイパー核の崩壊幅及びΓ_n/Γ_p比のデータを良く説明することが出来る。 2.上のK交換を含むメソン交換相互作用モデルをダブルラムダハイパー核^6_<ΛΛ>Heに適用し、核子関与の非中間子的崩壊幅を計算した。値は^5_ΛHeの崩壊幅の2倍より小さい値となった。これはΛΛ間のクラスター的構造を反映している。 3.ダブルラムダハイパー核に特有なハイペロン関与のΛΛ→nΛ及びΛΛ→PΣ^-,nΣ^0過程の崩壊相互作用ポテンシャルをメソン交換に基づいて導出した。ΛΛ→nΛには2π/σ,1ω及び1Kが寄与し、ΛΛ→NΣには1π,2π/ρ及び1Kが寄与する。これを^6_<ΛΛ>Heと^<10>_<ΛΛ>Beに適用して崩壊幅を計算し、その特徴を分析した。崩壊幅は^6_<ΛΛ>He(^<10>_<ΛΛ>Be)で自由Λ粒子の崩壊幅の約5%(3%)であり将来実験で測定される可能性がある。 4.ダブルラムダハイパー核^6_<ΛΛ>Heと^<10>_<ΛΛ>Beのπ中間子崩壊のパイオンスペクトラムと崩壊幅を再検討した。^<10>_<ΛΛ>Beのπ^-及びπ^0崩壊励起スペクトラムを新たに計算し、スピンノンフリップ項で遷移する準位が特徴的に強く励起されシャープなピークを作ることを示した。ダブルラムダハイパー核の探索実験や崩壊娘核のスピン決定に応用できる。
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