研究概要 |
第二種超伝導体におけるド・ハース-ファン・アルフェン振動の理論的解明 上記の現象を数値的・解析的手法を用いて理論的に解析・解明し、渦糸格子相で観測される振動の減衰に対する理論的表式を与えた。また、超伝導ギャップの異方性がド・ハース-ファン・アルフェン振動を用いて決定できることを示した。 超流動^3Heとスピノール・ボーズ・アインシュタイン凝縮相における新たな量子渦構造の予言 ギンツブルグ-ランダウ方程式を用いて高回転場における超流動^3Heの量子渦構造を解明し、実験に対する指針を与えた。また、3成分スピノール・ボーズ・アインシュタイン凝縮相の低回転場・高回転場における量子渦構造を計算した。低回転場においてはマーミン-ホ構造と呼ばれる渦芯のない特異な構造が安定化し、高回転場においては多数の状態がエネルギー的にほぼ縮退しているソフトな構造が実現することを明らかにした。 第二種超伝導体における真木パラメータの計算 真木パラメータは第二種超伝導体を特徴付ける物理量の一つで、磁場中超伝導転移における比熱の跳びの大きさや磁化曲線の勾配変化に直接関係する。この真木パラメータを詳細に計算した。特に、クリーンな超伝導体において、真木パラメータがフェルミ面の形状に大きく依存することを明らかにした。 第二種超伝導体の上部臨界磁場に対する第一原理計算 上部臨界磁場H_<c2>は、第二種超伝導体を特徴づける基本的物理量の一つである。しかし、その定量的理解はあまり進んでいなかった。我々は、任意のフェルミ面・エネルギーギャップ対称性や不純物濃度を持つ物質に対して適用可能なH_<c2>方程式を導出した。さらに、この方法をNb, NbSe_2,およびMgB_2に適用し、局所密度汎関数法から得られたフェルミ面を用いてH_<c2>を計算した。その結果、実験との非常に良い定量的一致が得られた。 第二種超伝導体の上部臨界磁場近傍における電気抵抗の計算 磁場中の第二種超伝導体における電気抵抗は、量子渦の運動が絡む複雑な現象で、その定性的・定量的理解はあまり進んでいない。今回、H_<c2>近傍における電気抵抗の計算を、全ての不純物濃度について初めて系統的に行った。そして、低温における電気抵抗の磁場依存性が、ダーティー・リミットの下凸曲線からクリーン・リミットの上凸曲線へと変化していくことを理論的に予言した。
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