研究概要 |
ベルーゾフ・ジャボチンスキー(BZ)反応の触媒のルテニウム錯体(Ru(bpy)_3^<2+>)をN-イソプロピルアクリルアミド(PNIPAM)高分子ゲルに共重合し、乳化重合によってBZ反応液中で自律的に体積振動するRu(bpy)_3^<2+>-co-PNIPAM微小ゲルを構築した。レーザートラッピングによって微小ゲル集団の構築を試みた。或る値以上のレーザー光強度で、約5μm径の球形の集合体が形成された。BZ反応液の組成を制御することにより、この微小ゲル集団に酸化波が励起された。 PNIPAMにRu(bpy)_3^<2+>を共重合し、BZ反応液中で周期的にコイルーグロビュール(CG)転移を繰り返すRu(bpy)_3^<2+>-co-PNIPAM高分子を創製した。22℃では,約60秒周期の濁度の振動が観測された。動的光散乱により、これがBZ反応に伴うCG転移によるものであることを確認した。レーザートラッピング用いて、BZ反応液中で自励体積振動をする約5μm程度の集合体を構築した。この集合体はソフトなネットワーク構造を持つ物理ゲルであると考えられる。 RU(bpy)_3^<2+>の外場に対する高い感受性を利用して,ノイズを含めた外部刺激による自己組織化の誘起を試みた。自律振動能を内在する微小ゲルのリズムは、閾値以下の信号でもノイズを重畳することによって信号に同期することが見出された。この同期能は、最適ノイズ振幅で最大になった。更に光照射によってホップ分岐を誘起し、ゲルを興奮状態にした。これにノイズ電場をかけると、或る強度以上で振動状態が誘起された。この励起振動のコヒーレンス度は、様々な統計量を使って評価され、最適ノイズ振幅で最大になることが分かった。これはコヒーレンス共鳴が起きたことを示している。
|