研究課題/領域番号 |
13640404
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物理学一般
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研究機関 | 福岡教育大学 |
研究代表者 |
宇藤 茂憲 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (20185052)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2002年度: 200千円 (直接経費: 200千円)
2001年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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キーワード | 多層ラメラリン脂質 / 水和層 / 不凍水 / DSC熱分析 / Raman散乱 / x-ray回折 / 過冷却水 / DSPC / ラマン散乱 / DLPC / リン脂質集合体 / 多層ラメラ / 極性頭部 / 六方晶系状氷 / X線回折 |
研究概要 |
(1)多層ラメラリン脂質(「水和層」+「2分子膜」)L-α,distearoyl phosphatidylcholine (DSPC)11wt%含水サンプルの水和層が-190℃近傍でも氷結しないことを、DSC熱分析実験、x-ray回折実験、Raman散乱実験を用いて、氷発生の直接的(氷特有なx-ray回折パターンやラマンスペクトラ)、或いは、間接的方法(リン脂質極性頭部各部の動き、炭化水素鎖の歪み、或いは、ラメラ長周期構造変化など)で検証した。水和層は、大きく見積もっても30Å程度である。この水和層は極性頭部に直に接する「tightly bound water layer :水分子換算で4〜5層程度」と、これに挟まれる形で存在する「loosely bound water layer :5〜6層程度」とにおおまかに分けることができる。後者は、含水量、或いは、サンプル温度で変動する。11wt%含水DSPCサンプルの水和層は、tightly bound water layerのみで形成されていると考えられ、分極水分子と極性頭部との強い相互作用、及び、水素結合のネットワーク構造を形成し、これが氷形成エネルギーを上回っていると考えられる。 (2)PC型リン脂質同種の極性頭部を有し炭化水素鎖の長さの異なるDLPC_<12>(C_n=12)、DSPC、DLPC_<24>(C_n=24)の3種サンプルの比較実験より、炭化水素鎖の短いDLPC_<12>が10wt%含水を下回る場合でも水和層が氷結すること、また、炭化水素鎖がより長いDLPC_<24>では水和層が氷結し難いことを検証し、水和層の氷結がリン脂質炭化水素鎖の長さに依存することを示した。リン脂質の構造を考慮すると、炭化水素鎖が長い程、極性頭部の動きはより制限を受ける。水和層内で極性頭部に密着する水分子の氷結メカニズム解明の糸口を得、今後、実験を展開する。 (3)水和層氷結の有無に関わりなく、降温過程の-130℃近傍に、リン脂質自体の構造的変化を新規に見出すことができた。実験を継続展開中である。
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