研究概要 |
I.磁気異常縞模様の同定結果の再検討 1990年以降に実施した研究航海で得られた地球物理学データをもとに、これまでの中生代磁気異常の同定結果(Nakanishi, et al.,1992;Nakanishi, et al,1996;Nakanishi, et al.,1998;Nakanishi et al.,1999)を編集し、磁気異常縞模様図を作成した。磁気異常縞模様の同定が改訂された海域は下記のとおりである。 1.オントンジャワ海台周辺 2.Nova-Canton Trough周辺 3.日本海溝(福島沖) 4.伊豆・小笠原海溝(房総沖) 5.マリアナ海溝 特に、南部マリアナ海溝に関しては、本研究期間中(平成14年10月)に海洋科学技術センター研究船「かいれい」による航海を実施し、地磁気データを取得した。今回の観測結果から南部マリアナ海溝に沈み込む海洋性プレートが太平洋プレートであることを発見した II.磁気異常形状解析 磁気異常形状解析を実施し、磁気異常群ごとに、歪みの程度(skewness parameter)を求めた。その結果から、太平洋プレート形成後の、回転運動や火成活動の様子が明らかになった。 また、拡大速度と歪みの程度のばらつき(anomalous skewness)と相関関係を定量的に評価するために、拡大速度が極端に遅いインド洋アデン湾における過去約10万年間の磁気異常縞摸様の解析をおこなった。その結果を中生代太平洋の磁気異常縞模様と比較し、歪みの程度のばらつきと拡大速度との間には、正の相関関係があることを明らかにした。しかし、中生代磁気異常縞模様群間では、明瞭な相関関係は認められなかった。
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