研究概要 |
有珠山2000年噴火に伴う北海道・洞爺湖への影響について,2001年7月〜10月と2002年3月〜8月の期間,同湖で流速・濁度・水温・新生沈殿量に関する連続観測を行い,取得データの解析を行った.また,新生池沼については,2001年7月〜11月にN-12火口池,2002年4月〜10月にN-19火口池で水位・水温・電導度のモニターリングおよび気象観測を実施した.さらに,有珠山西山山麓の泉池で2002年7月〜2003年2月の期間,同様の観測をおこなった. 結果として,洞爺湖については,有珠山2000年噴火の際に発生した「熱泥流」の流入で形成された高濁度層は2001年には見出されず,懸濁物の重力沈降によって消滅したことが判明した.さらに2002年の観測では底層での濁度上昇もなく,これは降雨による泥流発生がほとんどなくなったことを示す.実際,金比羅山噴火口周辺では土木作業(噴出物の除去と斜面工事)を進めており,これによる効果が現れた結果となった.他方,新生池沼について,試水に対する化学分析は従来の洞爺湖温泉とは成分が,異なる結果を示した.また,泉池とN-19火口池に対する水収支計算の結果,正味の地下流出量はそれぞれ0.003〜0.004m^3/s,0.00005m^3/sと見積もられた.これから,火口池の場合,池底周辺の堆積物が粘土質で透水性が悪いため地下水寄与は小さく,典型的な「蒸発流出型」と判断された.
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