研究分担者 |
石川 裕彦 京都大学, 防災研究所, 助教授 (60263159)
林 泰一 京都大学, 防災研究所, 助教授 (10111981)
植田 洋匡 京都大学, 防災研究所, 教授 (70026186)
伊藤 芳樹 株式会社カイジョー, 技術戦略室, 室長
橋口 浩之 京都大学, 宙空電波科学研究センター, 助教授 (90293943)
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研究概要 |
この研究では,中立成層状態における大気境界層を対象とし,観測と数値実験により乱流の空間構造とその時間発展について調べた。 まず,潮岬風力実験所と信楽MU観測所において実施した観測結果を解析した。高度20mでの平均流方向成分の風速値に時間スケール160秒の連続ウェイブレット変換を施し強風域の平均パターンを作成すると,下降する動きを示す強風域と,その前方に上昇する動きを示す弱風域が存在する構造が示される。 数値実験は米国オクラホマ大学ストーム解析予報センターが開発した数値モデルARPS (Advanced Regional Prediction System)をラージ・エディ・シミュレーションとして走らせた。初期場としては,高度30mまでは対数則を満たし,それより上方ではエクマンらせんを形成する風速高度分布で,中立に近い温位高度分布(最上部では温度逆転層)をした水平一様な場にランダムな温位擾乱を与えた。積分時間35040秒後の状態を見ると,地表面近くでは風向方向に伸びた筋状の構造が卓越しており,地上7.5mでは空間スケール720mで平均流方向の風速に対するウェイブレット分散が最大となっている。ウェイブレット係数が極値を持つ位置を中心として平均パターンを作成すると,強風域の構造が地上150m程度から下方へと侵入していることが分かり,また,平均流方向に600m,平均流直交方向に240mという領域での運動量フラックスの大きさを見てみると,残りの領域に比べて大きい値を示す高度範囲は300m程度までに達している。
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