研究概要 |
1.河川における礫サイズ粒子の運搬過程を明らかにするために,常時観測システムを構築して,河川の水深および表面流速の,平常時および増水時を通した定期的なデータの収集をおこなうために,Nortek AS社製ドップラー型二次元流速・河床形態モニターを導入して,奥羽山地から山形盆地に流入する礫質河川である乱川の中流および下流において常時観測をおこなった. 2.本格的に観測をおこなった平成14年には,7月から11月にかけて,数回の増水があったが,そのうち,大きな河床変動を伴う増水は,7月11日〜13日の台風6号に伴う降雨によるもので,河床を構成していたpebbleサイズの礫が増水時の流速1m位から移動し始めた.流速が1.5m/secに達する段階で,岸近くに設置してあった流速計が河床で浸食された礫によって埋積されたために,流速データが得られなくなった.このときの流速計の位置での水位は30cm弱である.さらに流速が増すことになるが,圧力データから見積もられる最高水位は約1.5mで,流速は約4mに達すると推定される.減水時になって流速約3m/secに低下するころから,再び流速計はデータを記録し始めるので,覆い被さっていた堆積した礫は再び浸食され,流速計が露出し始めたと推定される.この結果から,増水時には河床の下方侵食がおこって礫を側方および下流方向に移動させ,減水時には側方浸食が卓越して,礫を下流方向に運搬し,州を成長させて堆積させると推定できる. 3.河床に残された礫のファブリックからは,流速2.5m以上においては,中礫サイズの礫は躍動で運ばれ,その際に流れに平行に長軸を向けて移動し堆積することが明らかになった.
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