研究概要 |
1948年福井地震では,福井平野周辺市町村は多大なる被害を受けた.また福井平野周辺地域には数多くの活断層が推定されている.しかしこれまで多くの活断層の存在が推定されていながら,その実体についてはほとんど詳細な調査は行われてきていない.そこで今回,福井平野を中心とする地域において,幾つかの活断層についてその活動度,活動履歴等の調査を行い,地形形成における活断層の役割を明らかにするとともに,当該地域の地殻変動の実態の解明を試みた. 調査を行った活断層は,越前海岸沿いの断層群,鯖江断層,木落断層,および福井平野の断層群であり,福井平野については,ボーリングデータによる基盤構造の推定もおこなった.調査の結果,越前海岸沿いの断層群については,最新の活動が17世紀中ごろであり,海岸域は3〜7m隆起したこと,活動度はA級の可能性が高いことが明らかとなった.鯖江断層では断層を境に武生盆地の沖積面高度に数mの食い違いが見られること,鯖江台地は鯖江断層の西側隆起,西への傾動運動に伴って形成されたこと,鯖江台地の離水時期はAT降灰直後であること,鯖江断層の活動はA級の可能性があること等が明らかとなった.木落断層では単位変位量は3〜4m,活動間隔は2,500〜4,500年程度であり,平均変位速度は1.7〜2.3m/1000年とA級の活動度を示していることが明らかとなった.また福井平野の調査においては,福井平野は西へ傾動していること,福井平野の西縁を区切る活断層が推定できること,福井平野を北東-南西方向に横断する基盤深度急変線が存在すること,福井地震断層に沿って,地表面の比高数mの緩やかな段差が,従来推定されてきた断層位置の西側1km付近に認められること等が明らかとなった. 以上のように本地域はこれまで推定されてきた以上に,活発な活断層が多く,今後ともさらに調査を継続してゆく必要がある.
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