研究課題/領域番号 |
13640512
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物理化学
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
野々瀬 真司 神戸大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (70212131)
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研究分担者 |
富宅 喜代一 神戸大学, 理学部, 教授 (00111766)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2003年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2001年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | アンモニウムラジカル / 光解離分光法 / エレクトロスプレーイオン化法 / シトクロムc多電荷イオン / 水和クラスターイオン / 鉄プロトポルフィリン錯体 / 微視的な水和の機構 / アミノ酸 / 光誘起反応 / 鉄ポルフィリン錯体イオン / 準安定崩壊 / 溶媒和クラスターイオン / メタノール / 光解離分光装置 / 四重極質量分析計 / 八極子イオンガイド / クラスター / シトクロムc / ポルフィリン |
研究概要 |
1.溶媒和アンモニウムラジカル、NH_4(NH_3)_nの電子スペクトルを測定し、ラジカルのクラスター内での溶存状態を検討した。その結果、NH_4はクラスター中で自発的にイオン化していることが明らかとなった。さらに超高速分光法を用いて、励起状態の寿命がnの増大に伴って急速に短くなることを見いだした。 2.水溶液中にある生体分子の真空中で孤立状態における構造、微視的な水和の機構、水和の生体反応に関わる役割などについて研究することを目的として、エレクトロスプレーイオン化法を用いた二重質量分析・光解離分光装置を開発し、生体分子クラスターイオンの構造と反応に関する研究を行った。 (1)ヘム蛋白質であるシトクロムcの多電荷イオン(+9〜+17)の光誘起反応について検討した。特定の電荷数のイオンを選別しヘムを多光子励起すると、多電荷イオンからの電子脱離(イオン化)が観測された。電荷数の増加に伴って電子脱離の分岐比が単調に減少し、電荷数が+16以上では電子脱離が起こらなくなることが分かった。その結果、蛋白質イオンは液相中に較べて非常に拡がった構造をしていることが分かった。 (2)エレクトロスプレーイオン源を改良し、試料イオンを含む荷電液滴から溶媒分子を完全に蒸発させた後に水蒸気を混入することによって、イオンに溶媒として水分子が多数付着したクラスターを効率よく生成する方法を確立した。 (3)様々なアミノ酸・ペプチドに水・メタノール等の溶媒が付着したクラスターイオンの、準安定崩壊による自発的な溶媒分子の蒸発の割合を測定した。その結果、イオン中の電荷の非局在化構容媒分子の結合エネルギーと関わることを見いだした。 (4)鉄プロトポルフィリン錯体イオン(ヘミン)に水・ピリジン・メタノール等の分子が溶媒和したクラスターイオンの光誘起反応について検討した。ヘミンをπ-π^*励起すると、溶媒の蒸発する過程と、ヘミンから-CH_2COOH基のβ開裂する過程とが競争的に起こるが、溶媒数の増加に伴ってβ開裂が抑制された。クラスターイオンからの準安定崩壊による自発的な溶媒分子の蒸発の割合(準安定崩壊率)を見積もり、溶媒分子の結合エネルギーとクラスターイオンの内部温度を求めた。 (5)芳香族アミノ酸であるトリプトファンおよびこれにグリシンが縮合したトリプトファニルグリシンに水等が付加したクラスターイオンの光解離過程について研究した。インドール環をπ-π^*励起すると、-NH_3基の脱離と-COOH基の分解とが競合して進行した。その結果、これらの解離反応の過程が分子内のエネルギー緩和過程と深く関わっていることを見いだした。
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