研究概要 |
ケイ素上がシリル基のビスシラシクロプロパンおよびビスシラシクロプロペニルから還元的にエチレンやアセチレン部位をのぞき,今だ未知のケイ素-ケイ素三重結合(ジシリン)やその過剰電子種を合成できないか検討した。その結果シリル置換のビスシラシクロプロパンまでは合成できたが,そのLiなどによる還元反応でジシリンの過剰アニオン種の合成には成功しなかった。その際ケイ素上がフェニル置換ビスシラシクロプロペンの異性化で1,4-デュワーベンゼンが副生することを見い出した。さらに最終年度このフェニル置換1,4-デュワーベンゼンから金属錯体との反応による1,4-ジシラベンゼン錯体の合成を試みたがこれも不成功に終わった。しかしながらこれらの研究の中からケイ素置換の1,4-ジシラデュワーベンゼンの新合成法を開発し,そのLiによる還元反応で含ケイ素芳香族化合物の最初め電子過剰ジアニオン種として1,4-ジシラベンゼンジアニオンを安定に合成単離することができた。これに関しては現在論文準備中。 AIMやELF計算を用いたケイ素-ケイ素三重結合の理論的な研究でそのトランス折れ曲がり構造のために一対の電子対が孤立電子の状態になり,結合次数は二重結合程度と報告された。AIM計算やELF計算のプログラムを立ち上げて追試を行った。さらにこの手法を含ケイ素化合物の結合性の関する問題に適用することを検討した。
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