研究概要 |
本研究は、迅速化学分離法である気相反応を利用し、超アクチノイド元素の化学的性質を調べたものである。はじめに、Zr, HfおよびRfの同位体を、同時に合成し、同時に化学分離をした結果、等温ガスクロマトグラフ分離されたRfのα線スペクトルを観測することができ、ZrおよびHfと同様な反応条件で、揮発性Rf塩化物が生成され、輸送されたことを確認した。さらに等温カラム温度に対する相対収率の変化を調べたところ、これまでの報告と異なり、Zr, HfおよびRfはすべて同様な挙動を示すことを見出した。ZrとHfはマクロ量ではその性質が非常によく似ており、今回の結果がそれに矛盾しないことからも、Rf塩化物がZrやHf塩化物とよく似た傾向をもつことを確かめることができた。この結果は、Zr, HfおよびRf塩化物について直接比較を行うことにより、本研究で初めて得られたものである。4族元素塩化物の周期性からの外挿によると、RfはZrやHfよりも高い温度で蒸発することが予想されている。一方、相対論計算からの予想では、これら、3種類の元素の塩化物はほぼ同じ揮発性を持つと予想されている。従って、本研究の結果は、これら3種類の元素の塩化物はほぼ同じ揮発性を持つと予想されている。従って、本研究の成果は、相対論計算と矛盾しないものであることがわかった。 また、自発核分裂核種^<252>Cfからの核分裂生成物とβジケトン錯形成試薬であるジピバロイルメタン(dpm)との気相反応について検討した結果、KClエアロゾルを含むHeガスによって輸送された核分裂生成物の内、RuとRhが特異的に揮発性のdpm錯体を形成することが分かった。超アクチノイド元素である。Hs(Z=108)とMt(Z=109)はそれぞれ同族のRu及びRhと似た性質を持つことが予想されので、これらの揮発性化合物の詳細な等温クロマトグラフ挙動を検討した結果、反応温度350℃で反応効率が約45%であり、20℃ではカラムに完全に吸着されるが、100℃以上になるとカラムに吸着されなくなるという揮発性が高いものであることを見出した。また、半減期34.5秒の^<109>Ruも観測されることから、短寿命核種に適用できるものであることを見出した。
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