研究概要 |
錯体の合成と同定.[M(triphos)(PPh_3)],[M(binap)_2](M=Pt, Pd)錯体の合成を行い,元素分析とNMRによって同定した(triphos=1,1,1-tris(diphenylphosphinomethyl)ethane, binap=1,1'-bis(diphenylphosphino)-2,2'-binaphthyl).合成法の最適化も行った 錯体の発光特性の解析.[Pd(triphos)(PPh_3)]錯体の溶液中での発光減衰曲線は,2項の指数関数の和で表せることが分り,その原因について詳細な解析を行った. 酸素との光化学反応.[Pt(binap)_2]錯体と酸素との光化学反応初期において一重項酸素の生成が示唆された.そこで簡易な近赤外光検出システムを構築し,一重項酸素の発する1270nmの発光の検出に成功した.励起状態の[Pt(binap)_2]錯体からエネルギー移動によって一重項酸素が生成すると考えた. 錯体とアルコールとの光化学反応.上記の錯体とエタノールの光化学反応を行った.光源には現有の水銀灯を,有機生成物の同定にはガスクロマトグラフを用いた.最大用いた錯体の8倍のアセトアルデヒドが生成することを見いだした. 錯体とハロゲン化物の光化学反応.[M(tliphos)(PPh_3)]や[M(binap)_2]と1,2-ジクロロエタンとは可視光照射下ですみやかに反応して,ほぼ定量的にエチレンを与えることを確認した.また,カリウムメトキシドを添加することによって,ターンオーバー数は最大5程度と少ないものの光照射下で[Pd(triphos)(PPh_3)]を触媒とする1,2-ジクロロエタンやクロロベンゼンの脱ハロゲン反応が進行することを確認した.
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