研究概要 |
本研究の目的は、コア分子を化学修飾し、柱状液晶相を発現させ、ポリマー化した後にコア分子を除去し、フラーレンなどの分子を認識する細孔を形成することにある。 13年度においては、計画書どおりに、ヘキサヒドロキシトリフェニレンをコア分子として用いたが、空気酸化を受けやすく、コア分子として不適切であることが判明した。また、エステル結合でコア分子を修飾する方法では、ポリマー化後の加水分解が困難であることが予想された。そこで、14年度は、含窒素化合物をコア分子として用い、3,4,5-トリアルキルけい皮酸(TACA)を修飾基として、両者を混合することにより、錯体を形成させ、超分子液晶化合物に導くことを計画した。まず、市販されている.3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸エチルをアルキル化し、還元によりアルデヒドに導き、さらに、Horner-Wadsworth-Emmons反応によりTACAに誘導した。アルキル基としては、オクチル、デシル、ドデシル基を導入した。含窒素化合物としては、ピリミジン、ジピリジル、ジピリジルエタン、ジピリジルエチレン、メラミン、各種アルキレンジアミン等を選び、TACAと錯体を形成させ、加熱冷却を繰り返しながら偏光顕微鏡で、液晶状態の発現を観測した。その結果、ジピリジルエタン、ジピリジルエチレン、アルキレンジアミンがTACAと1:2錯体を形成し、安定な柱状液晶相状態を発現することを見出した。また、液晶状態において、TACAの二重結合を紫外線照射により、光重合させることを試みたが、これまでのところ、ポリマー化は進行していない。今後は、TACAのアルキル末端に二重結合を導入して光重合を成功させ、ナノポーラスポリマーの作成を完成させたい。
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