研究課題/領域番号 |
13640589
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物質変換
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
北條 信 筑波大学, 化学系, 助教授 (50229150)
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研究分担者 |
細見 彰 筑波大学, 化学系, 教授 (00004440)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2002年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2001年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | クロム / アート錯体 / アリルクロム種 / クロムエノラート / 2電子還元剤 / カチオン転位 / Lewis酸 / 鉄触媒 / アリル / プロパルギル / エノラート / アルドール / ホモアルドール / 転位 |
研究概要 |
遷移金属アート型反応剤の反応はアルキル化以外に、中心金属が酸化を伴う反応も期待できる。研究代表者らはアート錯体という電子過剰系への求電子剤の酸化的付加を求電子剤の"還元的な直接メタル化反応"として捉えた研究を行い、マンガンアート反応剤を還元剤とする多様な有機金属反応剤の直接生成をこれまでに明らかにしてきた。 本研究ではマンガンだけではなく、クロムアート型反応剤も還元剤として機能することを明らかにした。すなわちアリルリン酸エステル類に対してクロムアート型反応剤を作用させることによりアリルクロム種が生成すること、α-ハロカルボニル化合物からはクロムエノラートが効率よく生成することを見つけた。これらの反応ではクロム反応剤は2電子還元剤として機能するため、基質に対して等量で定量的に還元反応が進行する。従って本反応は1電子還元剤として知られる2価クロム反応剤による還元反応とは対照的であり、還元段階と求電子剤との反応を区別して段階的に操作できるため、クロムエノラート本来の性質も明らかにすることができた。さらに本反応の応用を探索する過程で、クロムエノラートがLewis酸と混合しても互いに酸-塩基反応を起こして失活することはなく、反応性の低い求電子剤に対してクロムエノラートとLewis酸が協同的に作用し、反応するという非常に興味深い現象を見つけることができた。例えば、オキシランに対してLewis酸が作用することによりカチオン転位を経てアルデヒドへと異性化し、そのアルデヒドとエノラートがアルドール反応を起こす。しかしながら転位中間体のカチオンに対してエノラートが反応することにより生成するはずの生成物は全く得られなかった。合成化学的にはエノール化を起こしやすいフェニルアセトアルデヒドに対するアルドール反応も、スチレンからのカチオン転位により系中で発生したところをエノラートでトラップすることにより容易に達成することが可能である。
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