研究課題/領域番号 |
13640635
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生態
|
研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
幸田 正典 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70192052)
|
研究分担者 |
宗原 弘幸 北海道大学, 北方圏フィールド科学センター, 助教授 (80212249)
|
研究期間 (年度) |
2001 – 2003
|
研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
|
配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2003年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2002年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2001年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
|
キーワード | 協同繁殖 / 協同的一妻多夫制 / 雌による父性の操作 / 婚姻形態 / 精子競争 / 利害の協同と対立 / 繁殖戦術 / カワスズメ科魚類 / 一妻多夫制 / 共同繁殖 / 雌の操作 / 利害の対立 / 繁殖戦略 / ランプロギーニ種 / タンガニイカ湖 / 父子判定 / ランプロロギニ族 / 雌雄の利害の対立 / 子の保護 |
研究概要 |
平成13-15年度、及び16年殿一部の期間で、協同繁殖魚のジュリドクロミス・トランスクリプタス、およびカリノクロミスを用い、実験条件下での雌雄の繁殖戦術について複数の実験を行うことができた。まず、協同繁殖条件下で、なわばり雄・ヘルパー雄の精子競争が引き起こされることが、ペアで飼育した雄のGSIとの比較から明らかにされた。このことは本種の雄が、置かれたでの精子競争の程度に応じて、精巣への投資をダイナミックに対応させていることを示している。 雌による雄の受精への操作についても、繁殖飼育実験からほぼ実証することができた。この場合もペア繁殖の場合となわばり雄・ヘルパー雄そして雌の鳥を出繁殖させた場合の雌の産の違いから検討されている。二匹の雄がいる場合、雌は卵塊を有意に幅広く産卵させた。DNA判定により巣のより奥に産卵された卵は小型雄が、手前の卵は大型のなわばり雄が受精させることが明らかになった。このことは、雌が産卵場所をコントロールすることで2雄の父性を操作しうることを強く示唆している。また、小型雄の受精率が高い場合、同雄による保護の頻度も高くなることも示唆され、雌の父性操作が雄の保護と関連していることも裏付けている。 同属のオルナータスでは野外で一妻多夫の他、一夫一妻やハレムも形成されることが知られており、その主な要因は個体のサイズであることが考えられている。トランスクリプタスの雄雌をともに3個体用いた大型水槽での飼育実験から、雌雄にかかわらず、個体の大きさが婚姻形態の決定に大きな要因となることが示された。すなわち、雌雄ともに似たサイズでは一夫一妻が、一匹の雄が大きな場合は全ての場合で一夫多妻、一雌が大きい場合は一妻多夫の傾向になることが明らかにされ、個体のサイズが婚姻形態形成の上での重要性が、明瞭に示された。 カリノクロミスでは、野外観察から雌がくさび形の巣を好むことが示唆されていた。タンガニイカ湖の調査個体群から持ち帰ったカリノクロミスを水槽で飼育し、雌の巣の選択実験を行ったところ、受精の操作が可能である「くさび形」の巣を選択することが明らかにされた。今後カリノクロミスでの雌による雄の父性の操作が成されるのかどうか、といった研究を継続する必要があるが、この結果は、非血縁のヘルパーを伴う協同繁殖において、雌による父性操作の重要性を物語っているといえる。
|