研究概要 |
水チャネルの生理的機能を解明する目的で、ダイコンの細胞膜水チャネル(RsPIP1-1,1-2,1-3,2-1,2-2,2-3)と液胞膜水チャネル(RsTIP1-1,2-1)の各分子種の水透過機能の測定、遺伝子発現・タンパク質蓄積量の細胞特異性の解明、水ストレス、植物ホルモンによる遺伝子発現応答、耐乾燥性植物への水チャネル遺伝子の導入と形質への影響の解析を進め、以下の結果を得た。 (1)細胞膜型と液胞膜型の分子種いずれも、幼根・胚軸の中心柱、葉柄の維管束鞘など、成長の盛んな細胞あるいは維管束周辺など水透過量の多い細胞で、転写・翻訳レベルが高く、生理的合目性に合うと考えられた。 (2)分子種個々の遺伝子を酵母で発現させ、膜を調製しストップドフロー法で水透過能を測定したところ、細胞膜2型と液胞膜型グループは水チャネル機能を確認できたが、細胞膜1型では検出できなかった。RsPIP1グループは水透過以外の役割をもつ可能性が高い。 (3)ダイコン実生に、浸透圧ストレスあるいは植物ホルモン(ジベレリン等)を与え、mRNAとタンパク質レベルでの変化を解析した。細胞膜2型と液胞膜型は大きな変動を示さず、細胞膜2型(RsPIP2)が変動し環境応答性の高い分子種であることが明らかになった。 (4)ダイコン実生胚軸の皮層、塊根柔組織の細胞の水透過率を個別に測定したところ、いずれも水チャネルの量の多さを反映して、300-500μm・sec^<-1>の高い値を示した。 (5)タンパク質レベルでの詳細な解析を目的に、RsPIP、RsTIPの各分子種に特異的な配列をもつペプチドをウサギに免疫し、いずれも特異的で反応性の高い抗体を得た。
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