研究概要 |
研究成果のうちCW型に関するものは次の1〜4,DO型は5にまとめられる。1.サルシノイドを構成する19株の形態観察と分子系統解析を行い、Chlorosarcinopsisは多系統の4つのサブグループに分かれること、Desmotetraは鞭毛基部の発出位置が頂端からずれており平行なチラコイド膜がピレノイドを横断すること、Chlorosarcina stigmatica(ASIBT105)はこの属から除外し新属に入れること、Neochlorosarcinaは他の属と系統的にも離れていて独立した属と見なせることが明らかになった。Groover&Bold(1969)が行った栄養生理学的実験結果を再検討した。2.不等長鞭毛をもつHeterotetracystisとFasciculochlorisの系統関係を調べ、他の不等長鞭毛性の緑藻とは卓系統性をもたないことが明らかとなり、この性質は独立して獲得されたものであった。3.Chlamydomonas monticolaは細胞壁のある遊走子以外に裸の配偶子をつくり、2本鞭毛は平行にでて不等長で核が細胞前方にあることから、Heterochlamydomonasに属を移動させる必要がある。4.高塩分をふくむカザフスタンの農地土壌から分離された藻類はクロロフィルa, bの比が2.62(80%アセトン抽出)の緑藻であるが、遊走子の2本の鞭毛は約2:1の長さの違いがあり長軸からややずれたところから出る。遊走子は細胞壁にかこまれ、眼点を欠き、形態は特異である。分子系統解析で他のCWグループと離れた関係を示すことから、新属を建てる必要がある。5.従来Plankotosphaeriaという属名で記載されていたFollicularia属3種の分子系統を行った結果、スファエロプレア目のBracteacoccusに近縁であることが示唆された。Bracteacoccusの鞭毛は2本不等長で並行型で、ピレノイドを欠くなどの差異点があるが、多数の円盤状葉緑体が両属の共有派生形質となっていることが推定された。
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