研究課題
基盤研究(C)
1.野外調査以下の地域で野外調査を実施した。祖母山、屋久島、剣山(13年度);白山、中国哀牢山(14年度);北海道、八ヶ岳(15年度);北海道、台湾東部(16年度)。生育状況と生育環境を記録し、資料を収集した。資料は乾燥標本として、また一部は冷凍保存した。2.研究成果(1)高山性コケ植物相東ヒマラヤと雲南省のハイゴケ科の新しい分布情報を確認した。東アジアの生物相の中心をなす日華区系区の西端にあたるパキスタン産蘇類のチェックリストを作成し、植物地理学的解析を行った。東アジアの高山域に分布の中心をもつナンジャモンジャゴケを栃木県において、高山性の稀産種であるイシヅチゴケを北海道東部で確認した。台湾と日本の蘇類全種の記録を比較検討した結果、両地域の高山域には周北極要素のほか、中国西南部との共通要素が特徴的に見られることが明らかになった。(2)高山性コケ植物の種分化中国雲南省の高地で得られた資料がラッコゴケ属の新種であることを見出した。中国西南部が本属の種分化の中心であることを確認した。分子系統解析の結果、エゾノヒラツボゴケ属はサナダゴケ科に所属し、サナダゴケ科はサナダゴケ属と本属の2属からなること、中国と台湾の高地に分布する蘇類の単型属Giraldiellaは、ハイゴケ科に属し、キヌゴケ属のPylaisia falcataと近縁であること、ブータン、中国西南部、台湾の高地に知られ、最近日本から報告した単型属Neodolichomitraは、イワダレゴケ科に属することなどが支持された。ナンジャモンジャゴケを台湾から新たに発見し、日本、台湾、ボルネオの集団間には遺伝的差異が見られないことを確認した。さらに、他の薩類では喪失したと考えられる葉緑体ゲノムを本種から確認した。これはコケ植物の古いタイプが東アジアの高山帯に遺存していることを意味し、東アジアの高山帯フロラの特異性を示している。
すべて 2005 2004 2003 2002 2001 その他
すべて 雑誌論文 (16件) 文献書誌 (8件)
Bryol.Res. 8
ページ: 349-353
110009781542
Bryol.Res. 8(11)
Hikobia 14
ページ: 171-175
Hikobia 14(2)
National Science Museum Monograph 24
ページ: 227-240
Bull.Natn.Sci.Mus.,Tokyo, Ser.B 30(3)
ページ: 103-107
110004702119
蘚苔類研究 8(10)
ページ: 320-321
J. Hattori Bot. Lab. 93
ページ: 273-291
130007485011
J.Hattori Bot.Lab. 93
Bull.Natn.Sci.Mus., Tokyo, Ser.B 28
ページ: 39-47
ページ: 137-147
Bull.Natn.Sci.Mus., Tokyo, Ser. B 28(2)
Bryol.Res. 8(5)
Hikobia 13
ページ: 525-527
40000013665
Hikobia 13(3)