研究課題/領域番号 |
13650016
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用物性・結晶工学
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
寺田 教男 鹿児島大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (20322323)
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研究分担者 |
小原 幸三 鹿児島大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (10094129)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2003年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2002年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2001年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
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キーワード | 高温超伝導体 / 表面・界面制御 / 超伝道オーダーパラメーター / 活性酸素ビーム / 光電子分光 / 超伝導近接効果 / 金属系超伝導体 / 超伝導オーダーパラメーター / 電子状態接続 |
研究概要 |
高温超伝導体の表面・界面における超伝導オーダーパラメーターは構造欠陥や歪みによって急激に減衰する。本研究では、高温超伝導層における理想表面に実現よるオーダーパラメーターの減衰抑制、低温超伝導層との反応抑制が高強度な高温・低温超伝導接続の実現のための鍵であることに注目し、有望なエレクトロニクス材料と見なされているYBa2Cu307(YBCO)高温超伝導薄膜を対象として1)開発した高密度酸素原子ビーム源を用いた清浄化処理、2)光電子分光による「その場」評価、3)貴金属層挿入による界面反応抑制を試み、以下の成果を得た。 i)清浄化処理において、表面の超伝導性を支配する電子状態密度が雰囲気圧力にも敏感であることを新たに見い出し、処理条件の最適化を行うことにより、a-軸配向膜のみならずデバイス応用に重要なc軸配向膜においても単結晶の極低温劈開面に匹敵する電子状態密度を有する本質的表面を得るための手法を確立した。本研究における最適条件は処理温度450℃、処理圧力1mTorr以下、酸素原子ビーム密度5×10^<15>atoms/cm^2・secであった。ii)上述の最適化によりYBCO処理表面と「その場」堆積したAu層間の接合において、配線コンタクト等の応用のために十分な1〜5×10^<-9>Ω・cm^2の低コンタクト抵抗を達成した。iii)Pb-In/Ag(拡散防止層)/Au/c-YBCO積層構造の臨界電流密度がa)貴金属層厚に対して指数関数的、b)c-YBCO表面の電子状態密度に対してほぼ線形の依存性を示すことを見出し、高い状態密度の表面上に形成した接合でAu;1〜2nm+Ag;1〜2nmの場合、7×10^5A/cm^2(4.2K)を越える臨界電流密度を達成した。このような表面において4.2Kにおける走査トンネル分光を行ったところ、ゼロバイアス近傍でコンダクタンスの抑制が見い出され、YBCO表面の超伝導性が改善されたことにより挿入層最外面まで超伝導近接効果が到達しているものと考えられた。 得られた特性は回路設計上の要請値を満たすものであるとともに、表面電子状態の「その場」観察と開発した高密度酸素原子ビームを用いた高温超伝導層の表面清浄化技術を組み合わせた手法が高温超伝導体を含むヘテロ界面の電子構造接続の優れた制御手法であることを示している。以上から当初の目的は達成されたものと考える。
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