研究概要 |
本研究では,圧電アクチュエータと圧電センサを組み込んだ知的積層複合材構造について,動的応答を用いた損傷同定法を開発し,積層複合材構造の信頼性・安全性の一層の向上を図ることを目的とした.本研究で得られた主要な成果は以下の通りである. 1.圧電素子を組み込んだ積層板について,周波数領域および時間領域の振動データを用いることにより,層間はく離の位置と大きさを正確に同定する手法を提案した(論文1). 2.構造物が損傷を受けたとき損傷進展を抑制することが重要であるが,圧電アクチュエータ・圧電センサを組み込んだ知的構造物である積層板構造の振動制御の手法を提案した(論文2). 3.層間はく離を有する積層複合材構造について,はく離が固有振動数・固有振動モードに及ぼす影響を明らかにするとともに,圧電センサを用いた損傷検出法の有効性を示した(論文3). 4.衝撃荷重を受ける積層複合材構造の主要な損傷であるマトリックスクラックと層間はく離について、有限要素法に基づく詳細な損傷進展解析の方法を提案し、実際に現われる複雑な損傷進展挙動を正確に予測できる解析法を確立した(論文4,5). 5.知的構造物の動的応答計測のためには,特定のモードのみをピックアップするモードセンサが必要となる.そこで,少数の圧電センサの配置を最適化することにより,低次のモード変位を精度良くピックアップするモードセンサの効果的構築法を示した(論文6).
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