研究概要 |
本研究の目的は,次の4点である.(1)筆者等が開発したムライトの使用温度下でのき裂治癒挙動と治癒温度での強度特性評価.(2)筆者等が開発した窒化珪素の使用温度下でのき裂治癒挙動と治癒温度での強度特性評価.(3)き裂治癒能力が優れたアルミナの開発.(4)き裂治癒能力が優れた炭化ケイ素の開発.各目的に対して,得られた主要な成果は以下の通りである. (A)ムライトに関して.本ムライトは優れたその場き裂治癒能力(使用温度域でき裂を治癒し,しかもその温度域で充分な強度を有している)を有していることが判明した.1273K〜1473Kの温度域で,強度を約70%低下させるき裂を無応力下,一定応力下あるいは繰返し応力下で完全に治癒できた.しかも,き裂治癒部はその治癒温度で母材部に等しい強度を有していた. (B)窒化珪素に関して.本窒化珪素は優れたその場き裂治癒能力を有していることが判明した.1173K〜1473Kの温度域で,強度を約50%低下させるき裂を無応力下,一定応力下あるいは繰返し応力下で完全に治癒できた.しかも,き裂治癒部はその治癒温度で母材部に等しい疲労強度を有していた. (C)アルミナに関して.き裂治癒能力,強度及び耐熱性が極めて優れたアルミナの開発に成功し,その特性を解明した. (D)炭化ケイ素に関して.き裂治癒部の耐熱性を,873Kから1473Kに上昇させることに成功した.
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