研究概要 |
セル状固体が巨視的一様変形のもとで微視的に座屈する際に成立する条件を有限変形の均質化理論により議論した.このためまず,周期材料が巨視的一様変形を受ける場合の仮想仕事の原理を増分形で示し,これに基づいて更新Lagrange形式の均質化理論を定式化するとともに,このように導いた均質化方程式は物質客観性の原理を陽に満足することを示した.次に,微視的対称分岐点では,擾乱変位速度が自発的に生じるが,この自発的擾乱変位速度場の符号を変えても巨視的状態の変化には影響しないとし,分岐点で成立する条件を調べた. つづいて,上述の理論を正六角形ハニカムの面内二軸圧縮座屈問題に適用したところ,次のような知見が得られた. 1.本座屈問題では,単純分岐点,2重分岐点および3重分岐点が現れ,2重および3重分岐点では座屈モードが多重となったが,擾乱変位速度場に拘束を与えることにより多重座屈モードの基礎モードを求めることができた.このように求めた基礎モードは,セル壁方向の単軸圧縮座屈モード(モードI)であり,簡単である. 2.上述の基礎モードを線形結合したところ,2重分岐点ではGibson-Ashbyが観察した複雑な二軸圧縮座屈モード(モードII)となり,また3重分岐点ではPapka-Kyriakidesによって報告された花状座屈モード(モードIII)が得られた. 3.上に述べた正六角形ハニカムの座屈モードI〜IIIは,自発的擾乱変位速度場の符号の反転に基づく巨視的等価性の検討により,微視的対称分岐であることが示された.したがって,その自発的擾乱変位速度場は剛性場との直交条件を満足するはずであり,実際に満足することが数値的に確かめられた.
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