研究概要 |
本研究では,モアレ干渉法,位相シフト法および画像解析法の開発を行い,サブミクロンからナノオーダの微視的変形を2次元的に,かつその分布を高精度で測定することを可能とした.さらに現在設計されている種々の電子デバイスの熱変形計測に応用することにより,熱ひずみの発生メカニズムを解析した.主な成果は以下のとおりである. 1.電子デバイスQFP(Quad Flat Package)とMCM(Multi Chip Module)の計測を行い,1200本/mmの光回折格子を使用することで,熱変形を417nmの精度で評価することを可能にした.その結果,シリコンチップ端部および角部の封止樹脂で大変形が生じることを明らかにした. 2.シリコンチップが基板に直接接続されたFC(Flip-Chip Package)の熱変形を計測した.FC全体で生じる微視的変形解析,さらに微小はんだ接合部で生じるひずみ評価を行った.本解析結果から,熱変形に及ぼすアンダーフィル材の効果と実装基板の影響を定量的に示した. 3.モアレ干渉法に位相シフト法を応用することにより,高感度化を達成した.位相シフターとしてウェッジガラス板,さらに画像解析法を用いることにより,ナノオーダの変位場計測が可能となること,全観測領域における熱ひずみ分布が定量的に得られることを示した. 4.開発した位相シフトモアレ干渉法をSOJ(Small Outline J-Leaded Package)および積層型MCP(Multi Chip Package)の熱変形計測に応用し,変位が30nmの高精度で評価することが可能であることを示した.さらに,熱ひずみを定量的に調べ,実装基板の影響やチップ周辺のひずみ集中を明らかにした.
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