研究概要 |
代表的な高分子材料であるエポキシ樹脂とポリメタクリル酸メチル(PMMA)は,現在様々な用途に幅広く用いられている. エポキシ樹脂は,耐熱性,電気絶縁性,接着性および機械的性質に優れているが,硬くて脆いという欠陥がある.またPMMAは,透明性に優れ,自動車や航空機などの部品,光学部品,建築用材などに利用されている.しかし常温においては,硬くて脆いという欠点を持っている.そのため,その脆さを改良し強靱化する方法が様々に研究されている.しかし,二つの高分子材共にゴム粒子を分散させる事により,破壊靭性が著しく改善できることが知られている. また,エポキシ樹脂を用いた高分子複合材料(ポリマーアロイ)であるゴム粒子分散エポキシ樹脂(RME, Rubber-Modified Epoxy)は,クリープ変形を生じる温度が低く,耐熱もしくは熱が生じるような状況下で使用する際にはクリープに関する特性を把握しておく必要があるがクリープに関する特性はあまり知られておらず,特にクリープ状況下のき裂に対する破壊力学的研究はダメージに関するものを含めてほとんどない. 本研究では,高分子材料の破壊靭性を向上させるためにゴム粒子を分散させたRMEと,ゴム強化PMMA(RT-PMMA, Rubber Toughened PMMA)について,材料挙動のモデリングを行い,実験と解析両面から定量的な評価を行う.さらにゴム粒子分散エポキシ樹脂のクリープ及びクリープ破壊試験を行い,クリープ状況下における材料挙動の材料特性評価とき裂先端部の粒子の状態について調べ,エポキシ樹脂のクリープ状況下での損傷についての考察を行い,実験により得られたクリープ曲線について損傷を考慮し近似式を作成し,ゴム粒子を分散させたエポキシ樹脂について,実験と解析の両面から定量的な評価を行った.その結果より,ポリマーアロイの線形,非線形挙動およびクリープ挙動が明らかになり,ゴム粒子分散ポリマーアロイの創成のベースとすることができた.
|