研究概要 |
従来のワイブル法に換えて疲れ試験方法のひとつであるステアケース法をセラミック軸受の寿命試験に適用し,大気雰囲気200℃,における潤滑,無潤滑条件のもとで摩擦摩耗特性,定格寿命および基本動定格荷重等を明らかにした.別に従来の鋼製軸受,ステンレス軸受についても同様の試験を行い比較し,次の結果を得た. (1)大気雰囲気200℃,潤滑による軸受の摩擦摩耗特性は,鋼製軸受(SUJ-2)が摩耗で寿命に至るのに対し,ステンレス軸受は約70%がフレーキングによる疲れ寿命で残り30%が摩耗による寿命である.セラミック軸受では,軸受要素部品(転動体,軌道盤および保持器)の約50%がフレーキング,残り50%は摩耗による寿命に分類される. (2)大気雰囲気200℃,無潤滑における各軸受の摩擦摩耗特性は,ステンレス軸受およびセラミック軸受が寿命に至る原因摩耗である.これは,軸受要素部品同士の接触摩耗によって発生した摩耗粉が軌道面上に移着し成長する過程で大きな振動を伴い保持器等の破損,破壊となる. (3)得られた軸受の摩擦摩耗特性をもとにステアケース法を実施し,得られた基本動定格荷重の結果を比較すると,セラミック軸受は200℃,潤滑条件では,常温における鋼製軸受の1/1.84の基本動定格荷重である.200℃,無潤滑条件では,ステンレス軸受に比べセラミック軸受は1.46倍の基本動定格荷重となり,高温特性に優れることがわかる. (4)初期条件が定まらない場合のステアケース法では,14S-N法の傾斜部を利用し8個の予備試験を行い初期条件である第1番目の荷重,荷重階差を決定することができ,高温,無潤滑条件のように参考となる荷重データが無い場合でもステアケース法を実施することができた.
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