研究概要 |
電子デバイスに使用されているはんだ接合部の強度評価法の開発が,同デバイスの信頼性評価と関わって重要である.本研究では,鉛系および非鉛系のはんだを用いて,広範な条件下でクリープ試験を実施し,はんだのクリープ特性を解明した. これまで広範に使用されてきた代表的な鉛系はんだSnー37PbおよびSn-95Pbのバルク試験片を用いて,クリープ変形およびクリープ破断強度の温度依存性および応力依存性について解明した.Sn含有量や融点の差がクリープ変形やクリープ破断挙動に及ぼす影響を明らかにするとともに,両はんだのクリープ変形および破断時間の推定式を提案した.また,非鉛系はんだの有力候補材であるSn-3.5Agを対象材料とし,同材のバルク試験片を用いてクリープ特性を解明した.Sn-3.5Agのクリープ変形やクリープ破断時間の推定式を提案するとともに,Sn-3.5Agのクリープ諸特性を,Sn-37PbおよびSn-95Pbのそれらと比較した.非鉛系のSn-3.5Agクリープ特性は,従来使用されてきたSn-37PbおよびSn-95Pbはんだのそれに比べて優れていることを明らかにした.クリープ特性からは,非鉛系のSn-3.5Agは鉛系のSn-37PbおよびSn-95Pbの代替材料として使用できることを明らかにした.次に,新たに開発したミニチュアクリープ試験装置を用いて,はんだのクリープ特性に及ぼす試験片寸法の影響を解明した.試験片直径が0.3mm〜2.0mm程度までのクリープ特性はバルク試験片のそれと比べて、短寿命側および長寿命側にバラツキが大きくなることを解明した.しかし,微小寸法のはんだ接合部のクリープ特性はSn-37Pbではバルク試験片のそれから係数2の範囲で推定できることを明らかにした.
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