研究概要 |
1.マグネシウム合金薄板材の成形条件と成形メカニズム 半溶融双ロールキャスターを用いて,代表的なマグネシウム合金薄板材AZ31B材の製造可能な条件を求めた.ロール傾斜角度0°の場合,板材の幅が80ミリメートルのキャスト材を製造できる条件は,ロール週速度で5-25m/min,注湯温度,625〜630℃,の狭い範囲にあることを確認した.この製造条件で成形された板材の平均結晶粒径はすべて30ミクロンメートル以下であり,傾斜冷却板によって急冷凝固され,組織が微細化,球状化していることを確認した.これらの詳細な製造条件の結果については,国際会議THERMEC 2003(2003年,7月)などの国際会議おいて,詳細が発表されている. 2.温間圧延条件と温間プレス成形性の調査 代表的な展伸用マグネシウム合金AZ31Bのストリップキャスト材を温間で圧延し,この材料の塑性加工性の調査を行った.AZ31B材の温間圧延の条件は300〜400°であれば,リダクションを比較的多くとっても耳割れなどは発生しない.また,温間圧延したキャスト材を焼鈍し組織均一化することで温間成形可能な材料を製造できる.温間深絞りは250〜400°で成形可能であるが,250℃でAZ31B板材はLDRが2.7まで深絞りが可能であることを示した. 3.成形条件と成形品の材料学的調査 マグネシウム合金AZ31Bのストリップキャスト材と,温間で圧延した後のストリップキャスト材,の組織観察を行った.ストリップキャスト材は,傾斜冷却板を使用して比較的低融点で鋳造しているため,組織はほぼ等軸晶になっている.温間で圧延した後のストリップキャスト材は加工ひずみの蓄積によって結晶粒は7〜8ミクロン程度まで微細化していることが判明した. 4.非線形有限要素法ソルバーの開発 有限要素法によって対流項を考慮した鋳造解析を行う計算プログラムを開発し,双ロールストリップキャスティングの解析を行った.ロールと材料の熱伝達条件の与え方をいろいろと変化させ,完全凝固位置,安定稼動を与えるロール隙間,ロール回転数などの調査を行った.この結果,開発したプログラムは,エネルギーの移流項を考慮しながら凝固の解析を行うことができることを確認した.すなわち,エネルギーの移動を計算条件に加えることができるため,高速域での凝固の予測に本ソルバーが有効であることを示した.
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