研究概要 |
本研究ではパラレルメカニズムとそれを支持するフレームの両方の変形を補正する方法を提案している.一般にこれらの変形は稼働中の熱や,内外力により引き起こされる.まず,球面ジョイントや回転ジョイントの回転振れや変形を上述のジョイント内に組み込んだ9台の変位計や直動リンクに内蔵したリニアスケールによって計測・補正する.次に,直動ジョイントの長手方向の変形は,リニアスケールユニットとジョイントを連結するスーパーインバー製のロッドにより機械的に補正する.さらに,9台の変位計と9本のスーパーインバーロッドを用いることにより,定盤と3つの球面ジョイント支持台との間の距離の変動を測定する.したがって以上の計測されたデータから稼働中のメカニズムの位置と姿勢はヘキサポツド機構の順運動学式より求めることができる.最後にエンドエフェクターの座標値がこれらの位置と姿勢によって補正される.実験結果は測定値のばらつきと温度変動の影響が小さくなったことを示した.結論は以下の通りである.(1)ジョイント内の変位センサあるいはリニアスケールユニットでジョイントの運動誤差とリンクの熱的伸縮を測定できる.(2)スケールユニットとジョイントをスーパーインバーロッドで連結することにより、リンクの弾性変形と熱的伸縮の両方を補正できる.(3)定盤とジョイント支持台の間の距離の変化を測定することにより,室温変動によるフレームの変形を補正することができた.
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