研究概要 |
本研究で得られた結果を要約すると,つぎのようになる. (1)パッド部すきま内にテイラー渦が発生し始める臨界テイラー数は,完全浸漬型マルチパッドジャーナル軸受の場合とほぼ同様の傾向を示す. (2)キャビティ部開き角θ_sが増加すると,まず,パッド部すきまを基準にしたテイラー渦が単独で存在する領域があらわれる.さらにθ_sが増加すると,このテイラー渦とキャビティ部すきまを基準にしたテイラー渦が共存する領域があらわれる. (3)キャビティ部開き角θ_sが極端に大きくなった場合も,キャビティ内に発生するテイラー渦の構造はパッド部すきまの影響を大きく受ける.テイラー数が大きくなると,パッド部すきまに依存したテイラー渦が回転軸表面近傍に全周にわたって形成される. (4)開き角θ_pが小さい邪魔板状パッドを,キャビティ部広がり角θ_sが約120°以下になるように設置すれば,テイラー渦は,その慣性効果によって崩壊が抑制され,回転軸近傍に全周にわたって形成される. なお,回転軸表面近傍に形成されたテイラー渦に対して,流量を連続させるためにキャビティ流れが生成されるが,テイラー渦とキャビティ流れの相互作用については,パッド部下流のキャビティ部の広範囲に渡った円周方向断面,あるいは他の軸方向の断面について詳細な検討が必要であるため,今後の課題としたい.
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