研究概要 |
本研究では現実的で重要性の高い二次元ポアゾイユ流れおよび同心二重円筒型流路内クエット流れに対して流動複屈折の2光線傾斜測定技術を適用し、流動により発生する3つの法線応力差に対する同時測定を行い、不安定流動発生前後においてこれらがどのように変化するかを定量的に解明することを目的とした。実験に使用する粘弾性流体として、紐状のミセルを形成する界面活性剤CTAB (Cetyltrimethylammonium bromide)水溶液を用いることとした。対イオンとしてNaSal (Sodium salicylate)を添加する。CTABとNaSalをそれぞれ0.23mol/l、0.03mol/lをイオン交換水に溶かした溶液を作成した。この溶液の流動特性はひずみ制御型レオゴニオメータにより測定され、低せん断速度領域においては単分散高分子溶液と非常によく似たMaxwell型の線形粘弾性を示すことを確認した。さらに,この試料がずり速度が3l/s以上の場合において流動開始からのひずみ量が25を超えるとき構造変化を生じて白濁が生じることが見いだされた.ずり速度を15l/s以上とした場合は,白濁を生じた後さらにひずみを加えるとあるひずみ以上で不安定流動に遷移していくことを同心二重円筒型流路内のクエット流れより明らかにした.2光線傾斜測定技術により第1,第2法線応力差を測定したところ,この試料はずり速度が4l/s以下では光弾性係数の値が一定値であったのに対してそれ以上とするとずり速度の増加に従って減少することを見いだした.さらに,ずり速度が12以上では第1法線応力差と第2法線応力差の比率がそれまでと変化し,光弾性則が適用できなることがわかった.これより,第2(及び第3)法線応力差は不安定性発生と関係することが推察される.しかし,これらの関係をより明確にするために追加的な実験が必要と考える.二次元ポアゾイユ流れにおける流動不安定性に関しては現在実験を継続中である.
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