研究概要 |
本研究代表者は、これまで実際の火災実験に代わり得るような信頼性の高いシミュレータの開発を目的に研究を行ってきたが、本研究はこのシミュレータの更なる高度化を目的とした研究である。まず予測精度の向上を目指し、シミュレータで用いる各種のモデル定数について実験結果等と比較、検討し、その適切な範囲について明らかにした。次に、シミュレーション結果を左右する重要な入力条件である、発熱速度や発煙速度の推測法について実験とシミュレーションとの対応によって検討し、火源からの熱放射および火源付近の最高温度の時間変化に比例する変化とするのが妥当であることを明らかにした。さらにこれらのモデル定数や入力条件を適用し,シミュレーションを行い,熱気流の流動構造も実験を再現していることを確認した.上記で定量的な予測性能を確認したシミュレータを用いて,縦流換気方式トンネルの防災対策にとって極めて重要な熱気流の遡上特性(遡上阻止風速,遡上距離)について検討し,渋滞車両の影響(単一車両,大型車混入率の影響,車両配置パターン等),勾配の影響について明らかにした.その結果,渋滞車両の存在によって遡上距離は抑制されるが,遡上阻止風速はあまり影響を受けないこと,下流側の環境は悪化すること等を明らかにした。さらに,避難口設置間隔の決定の基礎となる煙の降下現象について,実験と比較した検証,降下のメカニズムの解明等を行った.その結果,降下距離は300m〜400mであること,降下する煙は温度上昇は見られないこと等が明らかになった.
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