研究概要 |
鉛直ダクト内を重力沈降する粒子群により形成される粒子クラスター流動について実験と計算を行い,流動制御を目的とした実験データの収集と流動予測のための数値解析を行った. 実験では,一辺が20cmの正方形断面をもつ鉛直ダクト内のクラスター流動に対して,レーザーシートを用いたクラスター空間構造の可視化,光ファイバー粒子濃度計測システムによる局所粒子濃度変動の計測,さらに位相ドップラー流速計による粒子速度,粒径および気流速度の同時測定を行った.局所粒子濃度変動の計測結果より,平均粒子濃度,粒子濃度の確率密度分布,粒子濃度変動のパワースペクトルを得た.また,位相ドップラー流速計による測定結果より,粒子・流体間の平均相対速度,変動速度強度,粒子・流体の速度相関,粒径・粒子速度相関などを求めた.これらの詳細な実験データは,数値予測モデルの検証や流動制御の目的のために貴重な知見を与えるものである. 数値解析においては,粒径分布が粒子クラスターの空間構造に及ぼす影響を検討した.その結果,粒径分布の影響によりクラスターの空間スケールは大きくなる傾向を示し,実験での観測結果により近い予測を与えることが分かった.粒子濃度の確率密度分布は粒径分布の影響により分布の広がり小さくなる傾向を示し,これについても実験結果により近い結果を与えることが分かった.また,粒径分布のある場合には粒子濃度むらの発達が抑制され,その効果には粒径分布に起因する粒子速度変動の強度が関係することが分かった.また,粒径が粒子クラスター構造に及ぼす影響を調べた結果,粒径の増大によりクラスタースケールも増大する結果を得た.以上の結果より,本数値解析モデルの妥当性が検証され,粒径分布による流動制御の可能性が示された.
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