従来ロケットポンプインデューサの流れ解析は、インデューサの軸と同軸の円筒面で切断し展開して得られる二次元直線翼列に近似して取り扱われている。しかしながら、二次元直線翼列理論では、ケーシングやハブの影響を取り入れることは不可能である。 本申請研究においては、ケーシングやハブの影響を2平面でモデル化し、これら2平面間に置かれかつキャビテーションを伴う三次元直線翼列に対する理論を構築し、それを応用することを目的としている。 平成13年度においては、キャビテーション発生以前の問題すなわち側壁境界層を考慮したキャビテーション発生の無い三次元直線翼列の理論を構築し特性解析法を示した(日本機械学会論文集、第68巻、第665号、2002年1月)。 平成14年度では、この理論解析法を、過去に申請者によって提案されている単独翼を扱った三次元部分キャビテーション理論(日本機械学会論文集、第57巻、第536号、1991年4月)に融合させることにより、「せん断流中において部分空洞(キャビテーション)を伴う三次元翼列の理論」の構築に成功した(ターボ機械、第30巻、第6号、2002年6月)。 この理論による特性解析法をHIIAロケットに搭載されるLE-7エンジンの液体酸素ターボポンプに装着されているインデューサに適用し特性解析し安全側にあることを確認した。種々の翼列特性と共にキャビテーション形状について従来の二次元理論との比較を含め資料を航空宇宙技術研究所・角田宇宙推進センター・ロケット流体機器研究室山田室長に提供した。
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