研究概要 |
粒子を含む液体が凝固するとき,その粒子を捕捉しながら凝固層を形成するのが一般的である。しかし,粒子状物質が細かく凝固速度が遅い場合,微粒子は凝固の進行に伴い掃き出され,粒子を含まない凝固層を形成する現象が生じる。本研究では,凝固時に生じる粒子状物質および気泡の掃き出し・捕捉現象に対し,電気二重層力を主としたモデルによる理論を示すとともに,実験結果と比較検討することにより以下の事項を明らかにした。 (1)表面電位の異なるシリカ粒子,アルミナ粒子およびベントナイト粒子を対象として,粒子を含む水の一方向凝固実験を行い,粒子の掃き出しおよび捕捉現象を凝固速度および粒子径と関係づけて明らかにした。 (2)分子間力として電気二重層力およびvan der Waals力を考慮し,粘性抵抗力,重力を加えたモデルにより限界凝固速度を理論的に求め,実験結果との比較検討を行った。 (3)ガラス粒子一塩化ナトリウム水溶液系の一方向凝固実験を行い,塩化ナトリウム水溶液中では粒子の掃き出し現象がほとんど生じないことを示し,限界凝固速度に対する理論結果と実験結果との比較検討を行った。 (4)多数の粒子が液中に分散して存在する粒子分散液の凝固実験を行い,コロイド液体の凝固の立場から,粒子の掃き出し・捕捉現象を明らかにした。 (5)液中の溶存空気が飽和状態の場合と不飽和状態の場合に対し,溶存気体を含む水の凝固時における気泡の捕捉・掃き出し現象を実験的に明らかにするとともに,凝固時における捕捉・掃き出し現象に対する固体粒子と気泡の違いを明らかにした。
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