研究概要 |
各年度における研究実績の概要を下記する. 平成13年度は,補助水素噴射のハードウェア構築と重質油を用いた場合の燃焼上の問題点把握を主たる目標とした.設備備品として噴射圧計測システム等を購入し,噴射と燃焼過程の同期モニタリングシステムを構築した.重質油燃料の問題点調査として本研究の前駆となる内容を論文にまとめ,3編を国際学会で発表した.1編は本研究の基礎となった異種燃料の層状噴射による燃焼改善に,他1編は本研究の動機となった重質燃料の低質化に伴う機関障害に関するものである.本研究の遂行に伴って多くの講演会や研究会議に出席し,噴射系や水素燃焼について貴重な情報を得,知見を深めることができた. 平成14年度は,調査結果のまとめと補助水素噴射の効果確認を主たる目標とした.まず,水素燃焼技術の現況と問題点について九州大学内でのリサーチコアプロジェクト(水素エネルギー研究会)にて発表・報告した.この講演のため渡独して,水素燃焼に関する実績が豊富なBMW社と研究討議を行っている.補助水素噴射システムについては,噴射期間が5ms,発熱量換算で5%程度の微量噴射が可能なことを確かめた.その上で,重油燃焼で問題となる着火遅れ期間や排気微粒子(PM)の増大に対する補助水素噴射の効果を,研究室既存の高速度可視化撮影装置を用いて調査・検討した.その結果,適当な条件で水素を燃料噴射弁近傍に分布させれば,着火遅れの増大による火炎の偏在を是正できること,水素火炎の噴流によって燃焼終了時の流動を強化し,大幅にPMを低減できる可能性があることが判明した.以上の成果を取りまとめて,マリンエンジニアリング学会にて発表予定である.
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