研究概要 |
非定常噴霧火炎の特徴はすすの発生であるが,その発生機構を科学反応論的に取扱うことは重要である. 本年度は,この取扱いを次の手法によって行った. 1.非定常噴霧燃焼による火炎の情況は従来のモデルを用いる. 2.従来提案されている多環芳香族(PAH)の成長モデルを用い四環までのPAHを計算する. 3.素反応計算にはCHEMKIN-IIIを使用する. 4.化学種濃度プロフィール計算ではSENKINを用いる. 5.温度プロフィールはバーナーによる定常火炎の実験結果を与える. 6.初期温度は900[K],初期圧力は8.3[MPa],当量比は4.0とし,雰囲気が空気の場合の定圧燃焼とする. 7.圧縮着火機関の参照燃料はセタン値56のn-ヘプタンとし,含酸素燃料の場合と比較する. 以上の手法により,次の主な結果が得られた. (a)n-ヘプタンの消費過程,低級不飽和炭化水素への熱分解過程,芳香族系炭化水素への成長反応過程,主要反応生成物の生成・消費過程の時系列計算が可能である. (b)含酸素燃料とn-ヘプタンでは,後者は前者に比べて低級不飽和炭化水素が50[%]以上減少する. (c)これに伴ってPAHの減少が著しい. (d)含酸素燃料はその分子構造によってPAHの生成量が異なる.
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