研究概要 |
本研究では,機械システムの運動や振動の制御に対する,非線形現象の積極的な利用法を提案した.以下,対象とした非線形現象と制振法および非線形現象を利用した運動制御法の内容を具体に示す. 1.ベルト駆動系に発生する共振とその制御 ベルト駆動系はベルトの溶接痕やプーリの偏心などによって様々な共振現象を発生するが,非線形連成効果を巧みに利用することにより,一度にそのすべての共振を抑える手法を提案し,理論的ならびに実験的にその有効性を示した. 2.磁気浮上物体に生じる係数励振とその制御 非対称な非線形ばね支持力を受ける物体に発生する係数励振振動に対する,非線形連成効果を用いたアクティブな動吸振器による安定化制御法を提案した.係数励振の場合,1/3次分数調波共振の場合とは異なり,パッシブな動吸振器では安定化不可能であることを理論的に指摘し,アクティブな制御法によりその安定化が可能であることを理論的ならびに実験的に明らかにした. 3.劣駆動マニピュレータに対する運動制御 高周波加振によって,静的に不安定な平衡状態を安定化できることが動的安定化現象として以前から知られている.本研究では動的安定化現象の非線形特性を適切に操作することにより,フィードバック制御することなく,劣駆動マニピュレータの劣駆動リンク先端の位置決めを行う手法を提案し,実験によりその有効性を確認した.
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