研究概要 |
本研究では低価格のPCをネットワークで結んで,並列処理システムを構築し,従来の高性能ワークステーション等を使った高価格シミュレータと同程度の能力を持ち、しかも安価な宇宙ロボット動作解析システムを構築することを目的とした.まず,パソコンのネットワークでシステムを構築するためには,ロボットの運動方程式を,各PCが行う計算毎に効率的に分解したり,計算回数をできる限り低減する必要がある.そこで,本研究では,分散処理に適した3次元宇宙用柔軟ロボットの運動方程式を,計算回数がロボットのボディ数Nのオーダーで済む,non-recursiveのLagrangeの方程式の形で,新たに導出した.つぎに,例題として,地球を周回する宇宙プラットフォームに2リンクのマニピュレータが取付けられた,ボディ数3の宇宙ロボットシステムを考えた.そのため,サーバー用パソコン1台と,1つのボディの運動方程式を計算するためのクライアント用パソコンをボディ数の3台(クライアント1から3)用意し,LANで結合した.計算処理方法として,クライアント1にボディ1,同様にクライアント2,3にボディ2,3のダイナミクスを担当させた.クライアント1はボディ1のダイナミクスにおける非線形項と制御入力を,まず計算する.つぎに,その結果をサーバーに送る.サーバーでは,クライアント1,2,3から送られたデータより質量マトリックスの逆行列を掛けて,加速度を計算し,それぞれのクライアントに送る.クライアント側では,加速度を数値積分して,角速度・角度等を求め,1サンプリングの計算を終了する.実行の結果,計算速度および精度は同程度のCPUの能力で比べた場合,Unixワークステーション1台と同程度の能力が得られた.しかも,価格はワークステーションの1/5程度で済み,目標とした解析システムが実現できたことを確認した.
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