研究概要 |
波動場を用いた柔構造ロボットの機能発現の目的に対して,以下の結果が得られた. (1)波動場における柔構造ロボットとしてのアメーバロボットの制御の実現:アメーバロボットは,複数のユニットを柔らかいアクチュエータで結合して作られるロボットであり,自由にその形状を変化させながら移動などを実現する.ユニット間の局所的な学習(強化学習など)と大域的な同調(非線形振動子による引き込み,カオス・ニューラル・ネットワークによるリズム獲得)により,移動を実現する機構を実現した. (2)形態を準化させるロボットの構築:柔構造ロボットは,その構造を変化させることが可能であるため,与えられた環境において最適な形態を探索し,実現することが可能となる.動作そのものの進化と,形態と動作の同時進化のための方法論を開発し,それらが実現可能であることを示した. (3)液体金属ロボットの移動・形態制御:前述のアメーバロボットの考え方を進めると固体ロボットだけでなく,液体のように自由に形状を変化させるロボットに到達する.液体金属の二例として水銀を対象にし,周囲の電界を変化させることにより水銀滴の移動と変形を実現した.ここでは,環境を制御することにより,対象ロボット(水銀滴)に機能(移動・変形)を実現させるという,新しい制御方式が実現された. (4)感情を持つエージェント系:波動場における相互作用の拡張として,感情のような機能を持つエージェント系の構築を行った.感情は,非言語通信の一手法とみなすことができ,そこに波動場の考え方を導入した.結果としてエージェント群は人工社会を形成し,問題解決に応用できることを示した. (5)パワーアシストシステム:柔構造ロボットの一例として,人間と相互作用を行うパワーアシストシステムを構築した.人間のように柔らかく,またその動作が随意的に変化する対象を含む系の制御方式を実現した.
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