研究概要 |
本研究は超音波モータの最適制御方法を提案するものである.従来困難とされてきた電圧と電流の位相差を一定に保つことによる共振点維持制御回路と駆動回路基板を先ず製作した.本格的な正弦波駆動を行ったことで,正確で安定な電流波形が得られ,位相差を正しく検出することに成功した.次にこの状態を維持しつつ定電流駆動及び定電圧駆動部を追加しモータ回転数を微妙に制御することを初めて実現した.これにより今まで捕らえられなかった癖を発見することが出来,現象を説明できる新たな摩擦モデルを提案した.そのモデルの有効範囲の中では定トルク制御(トルクミラー)が可能であることが分り,モータトルク-インピーダンス特性のデータの中で実証することが出来た.本報告書ではそれら結果の対外的な発表報告も然ることながら,実験に使用した試作モータの製作方法及び駆動制御回路の回路図及び調整法についての記述に重点を置くことにした.これらは全てこれまで知的財産権の立場から公開を控えてきた事柄,いわゆるノウハウ,であるが大部分のものが研究期間中に出願公開となったことや,他の研究者・メーカ等が文献を頼りに試みても中々再現検証がされず却って本方式が誤解されることを避けるのが賢明であるとの立場にたった.本公開により広く研究者がトルクミラー制御の本質を理解され,広い分野で超音波モータが利用される事を期待したい.
|