研究概要 |
高齢化社会の到来により,ロボットなどの機械システムによる介護・補助の必要性が増している.本研究では,ユーザと対話しながら食事の運搬など間接的な補助作業を行うパーソナルサービスロボットの構築を目指し,そのようなロボットに必要な以下の機能を研究した.離れた冷蔵庫から缶やペットボトルを持ってくる作業を対象とした. 平易な作業教示:家庭で用いられるサービスロボットは,工場のロボットに比べはるかに多種多様な作業を行う必要があり,そのために必要な知識をすべて事前に与えておくことは困難である.そこで,必要なときに作業を順次教示できることが望ましい.ロボットを実際に使用するのは専門家でない一般ユーザであるので,平易な教示法が必要である.そのために,教示時に目標軌道とその許容範囲をユーザが与え,実際の軌道とロボットの移動を自動的に計算する手法を開発した.ユーザはロボットの構造を意識する必要がなく,直観的に教示を行うことができ,また一方でロボット自身の軌道計画の計算量も大きくはならない手法である. 対話に基づく物体認識:基本的に冷蔵庫の中の物体を色情報を用いて認識する.認識に失敗したときや候補物体が複数見つかったときに,ユーザとの対話によりさらに情報を獲得する枠組を研究した.ユーザから情報を得やすいような質問を生成するシステムを研究した. ロバストな音声認識:実際にロボットが使用される環境には多くの音が存在し,かならずしも正しい認識が行われるとは限らない.そこで,誤認識によりユーザの発話がそのままでは理解できないときにでも,誤認識された単語の認識結果,その前後の認識できた単語,および会話の状態を考慮した,誤認識された単語の意味を推定する手法を研究した. 上記の作業教示法を移動マニピュレータ上に実装し,離れた冷蔵庫から指定された缶飲料を取ってくる作業を実現した.今後は物体認識と対話機能を統合し,サービスロボットのプロトタイプを実現し,さまざまな検証実験を行う予定である.
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