研究概要 |
平成13年度では,指先型力センサ付きロボット指で平面環境に置いた平底面を有する曲面体の傾け操作を考え,得られたロボット指先の運動情報と力情報とから,把持不可能な未知曲面対象物の重心と重量の推定方法を確立して,実験により実証した.具体的に,まず,傾き操作を安定に行うための操作用垂直平面,およびこの平面に含まれる重心通過直線を定義した.ついで,ロボット指で対象物を上下に傾けるTip操作を数回行って測定された指先位置と指先力を用いて,環境接触点の位置とその接触点からの向重心ベクトルを推定するためのアルゴリズムを考案した.そして,環境接触点位置と向重心ベクトルに基づく重心通過直線の推定方法,および推定後に環境接触点とともに変位した複数の重心通過直線を同一な対象物位置姿勢において記述する方法を検討し,複数の異なった重心通過直線の組み合わせによる重心と重量の推定方法を提案した.最後に,6自由度アームロボットと一本の指先型力センサ付きロボット指を用いて実験を行い,提案した推定方法の有効性を実証した. 平成14年度では,指先型力覚センサを指先に取り付けた2本のロボット指を用いて対象物を押し,得られたロボット指先の運動情報と力情報とから,対象物のの重心,質量,慣性モーメントを推定する方法を確立し,また押し作業中における,ロボットが対象物に加える力への粘性抵抗による影響も調べた.具体的に,まず,指先で対象物を押して,複数の押し方向において対象物を加速させ,指先力覚センサに生じた対象物に働く慣性力,および指先の変位,速度と加速度を利用して対象物の質量および重心を推定する方法を検討した.そして,対象物が支持されている環境平面上で加速回転させ,その時の運動情報と力情報を基に慣性モーメントを推定する方法を考案した.最後に,6自由度アームロボットと2本の指先型力センサ付きロボット指を用いて実験を行い,得られた良好な実験結果により,提案した推定方法の有効性を実証した.
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